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アデノイド顔貌は歯列矯正で治せる?治せない?

日本人はアデノイド顔貌に悩まされている方が比較的多いです。口元から首にかけて特徴的な症状が見られ、顔全体の印象を大きく左右することから、コンプレックスになりやすい顔貌といえるでしょう。そんなアデノイド顔貌は、外科手術や整形治療でなければ改善できないイメージがあるかと思いますが、ケースによっては歯列矯正で治せることもあります。そこで今回は、アデノイド顔貌の特徴や原因、歯列矯正で治す方法などについて、東船橋のスマイルデンタルクリニックが詳しく解説をします。

アデノイド顔貌とは

そもそも「アデノイド」とは何なのか。これは鼻と喉の間にある「咽頭扁桃(いんとうへんとう)」を指す言葉で、いわゆる扁桃腺の一種であり、細菌やウイルスから体を守る役割を果たしています。このアデノイドが何らかの理由で肥大化すると、アデノイド顔貌という特徴的な顔立ちを引き起こすことがあります。

アデノイド顔貌とは、口元が前方に突出していると同時に、顎が丸みを帯びているため、顎と首の境目がわかりにくい「二重顎」の症状が見られる顔立ちです。アデノイド顔貌自体が健康に悪かったり、深刻なトラブルを引き起こしたりする症状ではないのですが、特徴的な見た目となるため、歯列矯正で改善したいと希望される方が多いです。

アデノイド顔貌

アデノイド顔貌になる理由

アデノイド顔貌になる根本的な理由は、咽頭扁桃(アデノイド)の肥大です。そして、咽頭扁桃は、以下のような原因によって肥大することがあります。

  • 幼少期の細菌やウイルスへの感染
  • アレルギー反応
  • 大気汚染
  • 慢性扁桃炎

これらが原因となって咽頭扁桃が肥大化すると、鼻で呼吸することが難しくなるため、口呼吸が誘発されます。口呼吸では、口腔周囲筋が弛緩し、下顎の成長が妨げられ、結果として顎が丸みを帯びたような顔貌となるのです。顎の骨が十分に成長しないと、永久歯をきれいに並べるためのスペースが不足し、乱ぐい歯(叢生)や開咬、上下顎前突などの症状が誘発されやすくなる点にも注意しなければなりません。

ちなみに、アデノイド顔貌は骨格的な遺伝が原因となるケースもあります。その場合は、ご両親やご兄弟にも同様の症状が見られるため、アデノイド顔貌の原因を特定しやすいといえます。

咽頭扁桃

アデノイド顔貌と口ゴボとの違いは?

近年、「口ゴボ」という言葉をよく耳にするようになりました。口元がゴボッと出ている症状で、一般的には出っ歯(上顎前突)や上下顎前突などを意味しますが、医学的な用語ではないため、厳密な定義もありません。そのため「アデノイド顔貌」も患者さんの症状によっては「口ゴボ」と呼ぶことができます。ただし、アデノイド顔貌には下顎の後退が見られたり、二重顎の症状が目立ったりすることから、口ゴボの中でも少し特殊なケースといえるでしょう。

アデノイド顔貌を放置するリスクは?

アデノイド顔貌に伴う直接的なデメリットは審美障害ですが、それ以外にも実は以下に挙げるようなリスクを伴います

  • 口呼吸で口臭が強くなる
  • 虫歯や歯周病のリスクが高まる
  • 風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
  • 歯並びや噛み合わせが悪くなる
  • 睡眠時無呼吸症候群のリスクが上昇する

アデノイド顔貌はあくまで外見の問題ですが、その背景にはお口や全身の健康を害する深刻なリスクが潜んでいることも正しく理解する必要があります。

アデノイド顔貌は歯列矯正で治せる?

続いては、アデノイド顔貌を治す方法です。結論からいうと、アデノイド顔貌の原因や重症度によっては、歯列矯正で治せることがあります。

アデノイド顔貌を歯列矯正で治す方法

顎が小さいことでスペースが不足し、上下顎前突などが引き起こされている場合は、抜歯をした前歯を後方へと下げる歯列矯正が有効です。アデノイド顔貌を歯列矯正する方法として、マウスピース矯正のインビザラインを選択した場合は、抜歯をせずに治療できるかもしれません。なぜならマウスピース矯正のインビザラインは、奥歯を後方に下げる動きが得意だからです。

その他、歯列を側方に広げたり、歯の側面を少しずつ削ってスペースを作り出したりする方法(ディスキング)を実施したりすることで、抜歯せずにアデノイド顔貌を治せるかもしれません。こうした歯列矯正では、歯並び・噛み合わせを治すとともに、横顔の美しさの指標であるEラインを改善することで、アデノイド顔貌も目立たなくなります。

マウスピース矯正のインビザライン

歯列矯正でだけでは治せないアデノイド顔貌

骨格的な異常に由来するアデノイド顔貌は、歯列矯正だけで治すことが難しい場合があります。そうしたケースでは、大きな医療施設の口腔外科で、顎の位置や大きさなどを調整する外科手術を行います。一般的にはその前後で歯列矯正を実施して、歯並び・噛み合わせを微調整します。

美容外科では、顎にプロテアーゼを挿入したり、口唇にヒアルロン酸を注入したりする方法でアデノイド顔貌を治療することがありますが、これはいわゆる対症療法であり、矯正歯科や口腔外科で行う原因療法とは根本的に異なります。語弊を恐れずに言うと、皆さんがイメージするアデノイド顔貌の整形手術は、歯列矯正や口腔外科での原因療法が該当するといえるでしょう。

アデノイド切除術

アデノイド顔貌の治療法には、肥大したアデノイドを外科的に取り除く「アデノイド切除術」という方法もあります。これも一種の原因療法であり、口呼吸や鼻腔の閉塞を改善できますが、もうすでに悪くなった歯並び・噛み合わせを治すことはできません。

まとめ

今回は、アデノイド顔貌の特徴や原因、歯列矯正で治す方法について、東船橋のスマイルデンタルクリニックが解説しました。アデノイド顔貌は、咽頭扁桃の肥大によって口呼吸が誘発され、顎が後退することで引き起こされる症状です。特徴的な顔貌を呈することからコンプレックスとなりやすく、歯列矯正や外科手術での治療を希望される方が多くなっています。

歯並びや噛み合わせの異常が一因となってアデノイド顔貌の症状が見られるケースは、マウスピース矯正のインビザラインを始めとした歯列矯正で治すことが可能ですが、骨格的な遺伝に由来するアデノイド顔貌は歯列矯正だけで改善することが難しく、口腔外科での外科手術(整形)を併用しなければならないことも珍しくありません。そんなアデノイド顔貌を歯列矯正で治したいという方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。

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院長 椎名 康雅

東京歯科大学で矯正治療認定医資格を取得し、同大学病院に勤務 平成15年にスマイルデンタルクリニックを開業 平成24年、スマイルデンタルクリニック矯正歯科/スマイルデンタルクリニック小児歯科を開業。 歯科医師のための勉強会「椎名塾」主宰。
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